仮初めの世界が崩壊する中、金色の風はこの世界の主を探していた。
次第に世界の'存在'が消え行くなか、ようやく見つけた主は初めて会ったあの場所そのままの所に座り込んでいた。
「テイルス。」
近寄り、また声をかける。
「テイルス。」
「ほっといてよ、ソニック。所詮、ボクは'要らない'存在なんだ。」
だから、と続けて、
「このまま消えたいんだ。ボク自身が作り出したこの牢獄に、ね。」
「テイルス・・・」
「ボクはね、ソニック、キミが来るとは思わなかったよ。キミは、ボクの憧れの人だから。
だから、ボクと一緒に消えて欲しくないんだ。」
ちらっと遥か彼方を見て、
「今なら、まだ間に合う。この'世界'から逃げて。」
「・・・・・バカヤロウ。俺の知っているテイルスはどこに行った! こんなことは言わなかったぞ。」
「ボクはね。ソニック。もう疲れたんだよ。みんなからの期待に応えられようとしていることに、疲れたんだよ。」
「・・・」
黙って、テイルスに近づくソニック。
テイルスの顎に手を添えて、顔をこちらに向けさせる。
生気の無い、テイルスにキスをする。
「・・・ごめんな、テイルス。オマエが苦しんでいたことに気づかなくて。」
「・・・・」
「いつもみんなからの期待に応えようとして無理すれば、そのうちにパンクするのも当然だな。すまないな。」
それを聞いて、テイルスは、
「・・・・ソニック、ボクはね。最後になるなら、ここにしようと思っていたんだ。でも・・・」
言いよどみ、
「でも、やっぱり、やっぱり世界にはここ、よりももっと、もっと素晴らしいところが、あるのかな?」
「・・・いつかは、見つかるさ。それまで足掻いて生きて、諦めずに探せば、誰だっていつかは見られるさ!」
「・・・・・ボク。やっぱり、みんなの、とこ、ろへもどり、たいよぅ。」
しゃくりあげながら、言う。
「・・・・すっきりしたか?」
背中から抱きながら頭を撫でる。
「うん・・・・」
「よしッ! じゃぁ、そろそろみんなのところへ戻ろうか! テイルス、俺にしっかりつかまれよ!」
「うん!」
「Where we go!」
地を蹴って、飛び出した途端に、それまでいた場所がたちまち消え、ただ、虚無の空間に戻る。
2人は、出口らしきものへ向かう。
既に、空間は縮み始めてきたように思える。
ソニックは、テイルスをかばいつつ亜光速で向かっていたが、このままでは間に合わないことを悟る。
「・・・すまない、テイルス。俺は、戻れそうにも無いや。」
どういうこと、と問う前に体の周りが光に満ちる。
テイルスはそれが何を意味しているのか、わかった。
ソニックが残ったエネルギーを使って、カオスコントロールさせようとしているのだと。
「いやだよ! ソニック!」
「・・・・・See you later, Tails! みんなによろしく!」
消える直前、目にしたソニックの最後の顔は、いつもどおりの口の端を持ち上げた皮肉な笑顔であった。
あとがき:
かなり暗い話になってしまいましたが、いかがでしょうか・・・?(汗)
このあと、テイルス君はソニックを失った悲しみで世界を滅ぼそうとするわけですが、そこになぜか上海ファングさんが登場して世界の破滅を防ぐわけですがwww
まじめな話。私は過去に酷い数年を過ごして、それこそ本当につらかったんです。
生きていくのが嫌になるくらい・・
そういった経験があるから酷く暗い内容になってしまったわけなんですが。。