シャドウの攻撃によってバイオリザードはついに力尽きた。
だが、アークは重力圏に捉えられたのか、ますます落下していく。
「クッ、このままじゃ突っ込んでしまう!
シャドウ、オマエの力を貸してくれ!
2人で同時にカオスコントロールしてアークを元の位置に戻すんだ!」
「わかった。」
既に2人の体力は限界に近づきつつあったが、かまわずにアークの最下層部へ移動した。
既にアークは、大気圏上層部を掠め始めたのか、最下層部がわずかに光り始めていた。
「いくぜっ!シャドウ!!」
「ああ。」
「「カオスコ ン ト ロォ ー ー ー ー ル ッ ッ」」
時が凍った瞬間に落下していたアークは元の軌道へ飛ばされ、何事も無かったかのように戻った。
そして。
カオスコントロールした反動で2人は反対方向に飛ばされた。
「「クゥッ!」」
必死で体勢を立て直した2人。
「ふぅ、やばかったな。
ま、なんとか落ちずに済んだし、早いところ戻ろうぜ。
この状態は余り長いこと持ちそうにも無いや。」
ソニックがそう言った途端、それまで白銀色に輝いていたシャドウが、元の黒い体に戻った。
そして、落下を始めた。
それを横目で見たソニックは、シャドウを追いかけ始めた。
「シャドウッ!!」
落ちさせまいと、必死で手を伸ばすソニック。
だが。
だが、しかし、嗚呼、しかしである。
シャドウは、ソニックの手をつかむ代わりに、影のような微笑みを浮かべるのであった。
ソニック。君は―――――
究極生命体であるこの僕を、普通の生命体である君に、完膚なきまでに叩きのめされたんだ。
'究極'生命体という言葉どおり、あらゆる面で'普通'の生命体を凌駕している。
だが、それ故に―――――
―――――これ以上成長しないんだ。落ちもしなければ、伸びもしない。
これが、'究極'の唯一の弱点であり、罠である。
初めて会ったとき、君は僕の足元にも及ばなかった。
だが、いつの間にか僕を凌駕するほどまでに成長していた。
これからも成長するであろう君は、将来いなくてはならない存在である。
だから、だから。
「生き延びろ、ソニック。」
「冗談じゃねぇっ!ここまで来て、オマエを、落としてたまるかよっ!」
必死で手を伸ばすソニック。そして、シャドウをつかんだ。
だが、つかんだのは、腕にはめていたリングであった。
「シャドウッッ!!」
なおも追いかけようとするソニック。
しかし、シャドウはどんどん遠ざかっていく。
遠ざかっていくソニックを見て、なぜかマリアの微笑みを思い出す。
影のような微笑みを浮かべながら。
「これで、よかったんだろ、マリア。」
光満ちる中、シャドウは―――――
―――――目を閉じた。
「・・・バカヤロウ・・・
オマエを待っている奴らに、どう言えばいいんだよ!!・・・
チクショウ・・・チクショウ!!」
暗い宇宙の中で涙を流しながら、悲しむソニック。
流れ出た涙は、たちまちにして凍り、
シャドウのあとを追うかのように落下していった――――――
あとがき
初めて出す小説がソニアド2ラストというのは、ベタかもしれませんが、最初にやったソニックのゲームが当時、兄が持っていた『ファンタシースターオンライン』に同梱されていた、『ソニックアドベンチャー2』体験版でして・・・高校生の間は部活、趣味にのめりこんでいて、それっきりだったのですが、社会人になって金銭面で余裕が出来た時に新しいソフトを買おうとして、某クションを探していたらたまたま目に付いたんですよw
で、どこかで見たデザインだな~?と思って兄が置いていった古いソフトをあさったら、体験版が見つかりまして・・・あー!これだ~!!と納得しましたw
そんな経緯でやり始めたのですが、だんだんとはまってしまいまして・・・(自爆)
古いハード&ソフトなのですが、今から見ても十分に通用するくらい質感、操作性は非常にいいです。操作する機会があったら是非お試しあれ。
著:FOXBAT R.